大人に感情があるように、子どもにも喜怒哀楽の感情があります。
幼児期になると自分の気持ちを相手に伝えられるようになり、相手の気持ちにも気づき、感情のコントロールが出来るようになってきます。
乳児期から学齢前期にかけて、子どもの感情のコントロールは発達していく過程です。
以下に、それぞれの期間での感情のコントロールの特徴を説明します。
1.乳児期(0〜2歳)
乳児期では、感情のコントロールは非常に限られています。赤ちゃんは自己の感情を理解することができず、感情を適切に表現する手段も限られています。主に泣くことで不快感を示し、快感を得るときには笑顔を見せる傾向があります。乳児は主に保護者に頼っており、保護者の反応に基づいて自身の感情を認識・制御する傾向があります。
2.幼児期(2〜5歳)
幼児期になると、子どもは感情の表現方法を多様化させます。言葉や身体表現(ジェスチャーや表情)を使って感情を伝えるようになります。幼児は自己主張が強まり、欲求不満やイライラを感じることもあります。しかし、感情のコントロールはまだ未熟であり、自己制御が難しいことがあります。幼児はしばしば感情の爆発や情緒的な行動を示すことがありますが、保護者や他の大人の支援を通じて、感情のコントロールを向上させることができます。
3.学齢前期(5〜8歳)
学齢前期になると、子どもは感情の理解と制御のスキルを発展させていきます。言葉を使って感情を表現することができ、他の人々の感情や視点を理解し始めます。学齢前期の子どもは、感情のコントロールにおいてより多くの選択肢を持つようになります。感情的な状況において、自分の感情を認識し、適切な対処方法を見つけることができるようになります。ただし、まだ成熟しきっていないため、感情的になってしまった場合に感情のコントロールが難しいこともあります。
感情のコントロールは個人の成長や環境によって異なる場合があります。保護者や教育者は、子どもの感情の発達をサポートし、感情のコントロールのスキルを教えることが重要です。理解と共感を示し、子どもに感情を適切に表現する方法を教えることで、感情の健全な発達を促すことができます。
幼児期の感情コントロールをサポートする方法
1.感情の理解と共感
幼児の感情を認識し、共感を示すことが重要です。幼児が感情を表現したり困難な状況に直面したりする際に、親や保育者は子どもの感情に寄り添うことが大切です。例えば、「悲しいね。どうしたの?」「何が嫌だったの?」と聞いたり、抱きしめたりすることで、子どもの感情を受け入れ、理解することができます。
2.感情の言葉での表現の促進
幼児は感情を言葉で表現する能力がまだ発展途上です。親や保育者は、幼児に感情の言葉を教え、使い方をサポートすることが重要です。感情の言葉を積極的に使用し、「怒っている」「嬉しい」「悲しい」といった言葉を伝え、幼児の感情に対して適切な言葉を提案することも助けになります。
3.感情のコントロール戦略の教育
幼児は感情をコントロールするための具体的な戦略を学ぶことが重要です。親や保育者は、幼児に感情をコントロールする方法を教えることができます。例えば、深呼吸やカウントダウンなどのリラックステクニックなどがあります。また、感情的な状況に直面した際には、幼児が友達と話したり、おもちゃで遊んだりすることで感情をリリースできるようにサポートします。
4.環境の整備
幼児の感情コントロールは、安定した環境の中で生活することが大切です。予測可能な日常ルーティンやルールを提供し、幼児が安心感を持てる環境を作ります。また、幼児の感情が高まっている時には、刺激を減らすために静かな場所や落ち着けるスペースを提供することも助けになります。
5.自己認識の促進
幼児は自分自身や他人の感情についての理解を発展させていきます。鏡や写真を使って自己認識を促進し、自分の感情を視覚的に認識できるようにします。また、他の子どもやキャラクターの感情についての話を通じて、他者の感情を理解する機会を提供します。
これらの方法を組み合わせることで、幼児の感情コントロール能力を促進し、健全な感情の表現と調整ができるようにサポートすることができます。